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ニュー・ワールド交響楽団の新キャンパス建設工事が着工

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ニュー・ワールド交響楽団の新キャンパス建設工事が着工

ティルソン・トーマスがフロリダのマイアミビーチに創設した、オーケストラのアカデミーであるニュー・ワールド交響楽団の新キャンパス建設工事の起工式が行なわれました。

おめでとうございます。

新キャンパスは現在の拠点の裏側に建設されるもので、ロサンゼルスのウォルト・ディズニー・コンサートホールを手がけたフランク・ゲーリーの設計。今回の調達費用は総額200百万ドル(約212億円、@106円)で、内150百万ドル(約159億円)が建設費用、50百万ドル(約53億円)がオーケストラの活動に充当されるとのこと。建設費の内、105百万ドルは民間から、45百万ドルはマイアミビーチ市などからの公的資金で調達するそうです。

200百万ドル調達キャンペーンのウェブサイト
目下続々とグラントを獲得中(経済マインドとしてはアゲンストでしょうが、フロリダは急速に発展した地域だからまた違うのかもしれません)。MTTは何故か行く先々に支援者が現れる、応援され体質の人なので、きっとうまくいくことでしょう。
ウェブでプロジェクトの概要を紹介する動画を見ることができます。
例によって、MTTは語っていますが、社会にビジョンを語って協力を得るとは、どういうことなのかがわかります。

施設は、700席のコンサートホールと校舎部分からなり、大小様々な音楽のラボラトリーと人々が音楽に出会える場を融合したものになっています。

注目すべきは、この新キャンパスがニュー・ワールド交響楽団のミッションをそのまま体現したものになっている点。MTTよ、ついにここまで来たか、という感じです。

どこが彼らのミッションを体現しているかというと、

  • 公園から直結したキャンパスは、ラボラトリーがガラス張りで、中で音楽をやっている様子を公園に来た人たちが見ることができる。ラボラトリーはアウトリーチの場にもする。
  • コンサートホールは、360度のマルチスクリーンがあり、マルチメディアを駆使することで、プログラムの可能性を広げることができる。
  • コンサートホールは、ウェブキャストの設備を備え、ウェブで世界中の人にコンサートを届ける。
  • コンサートホールは、メインの舞台の他にいくつも演奏スペースを設け、例えば一人の作曲家のオーケストラ作品、ピアノ作品、室内楽作品を一つのコンサートで違う舞台から連続して演奏することができる。
  • 公園側にプロジェクションでコンサートを放映し、市民がそこに来れば無料で音楽を聴ける場にする。
  • インターネットで世界の作曲家、ミュージシャン、教育機関などとつないで、レッスン、マスタークラス、シンポジウムなどに場所の制限なく参加できるようにする。特に作曲家本人との交流・作曲家の参画という点でのメリットを強調していました。

サンフランシスコ交響楽団は、組織としての歴史があり、既に社会に組み込まれている存在で規模も大きいので、活動を設計する上での制約がかなりあるのではないかと思います。これに対し、ニュー・ワールド交響楽団にはそういう制約がないので、自由に挑戦できるということなのでしょう。

マイアミを未来に向けた音楽創造のハブにするそうです。ぜひその道を突き進んでいただきたいです。

2010-2011シーズンから、新キャンパスで活動する予定とのこと。楽しみです。

新キャンパスについてマイアミヘラルドの記事

この構想を受けて、マイケル・ティルソン・トーマスという人物を考察した記事はこちら
あらためて考える、MTTってどうよ?

(2008.1.24)

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