オーケストラで “社会に新たな価値を創造するチャレンジ” を考えてみるサイト

ティルソン・トーマス指揮サンフランシスコ交響楽団来日公演2012

ティルソン・トーマス指揮サンフランシスコ交響楽団来日公演2012

2012年11月のマイケル・ティルソン・トーマス指揮サンフランシスコ交響楽団の来日公演のチケットを買うべきか否か迷っている方へ、彼らをウォッチしてきた者からのメッセージです。

コンサートは一期一会であり、心に残るような演奏に出会えるかどうかはその時になってみないとわかりません。また、音楽の好みは人それぞれ違いますし、受け取り方はそれまで自分がどういう音楽体験をしてきたかということにも左右されるでしょう。それでもティルソン・トーマスとサンフランシスコ交響楽団に関して、次のことははっきり言えます。

  • 今世界を見渡したとき、17年もひとりの音楽監督と徹底的な音楽づくりをしてきたオーケストラは、彼らを置いて存在しないということ。なぜなら彼らの場合、なんとなく17年が過ぎたのではなく、サンフランシスコ市民の街をあげたサポートのもと、戦略的にオーケストラをつくり上げてきたから。彼らならではの音楽づくり、音楽表現があります。
  • 現在のアメリカン・オーケストラのランド・スケープは、幅広い聴衆にアピールするドゥダメルが率いるエキサイティング路線のロサンゼルス・フィルと、あくなきチャレンジを続けるMTTが率いる知的探求路線のサンフランシスコ交響楽団が、別の方向からそれぞれ世界最高のオーケストラを目指して打って出ており、その隣で巨匠ムーティ率いるシカゴ響が「世界一はシカゴ」と連呼している状態(その他もそれぞれにがんばっている)。
  • 協奏曲はティルソン・トーマスが掘り下げているジャンルの一つで、ソリストとオーケストラのコラボレーションのあり方を探求しているため、現在MTTはそうした探求を共に歩めるアーティストとしか共演していません。今回のツアーでソリストを務めるユジャ・ワンは、2006年19歳のときに、サンフランシスコ交響楽団が毎年開催しているチャイニーズ・ニュー・イヤー・コンサートでセンセーショナルなデビューをして以来、ティルソン・トーマスとサンフランシスコ交響楽団が共演を重ねてきたアーティスト。2010-11シーズンには、毎年ひとりだけ選ばれる、年間を通して特集するアーティストにも選ばれました。またティルソン・トーマスは、ユジャの末長い活躍をサポートするメンターのひとりでもあります。ユジャは話題のピアニストだからツアーのソリストに選ばれたのではなく、ティルソン・トーマスとサンフランシスコ交響楽団がコラボレーションを蓄積してきたアーティストなのです。

サンフランシスコ交響楽団のアジアツアー

ツアーの詳細な日程は未発表(期間は約3週間)
北京、上海、香港、マカオ、台北、東京

  • 11月19日(月)サントリーホール
    ショスタコーヴィチ:ピアノ協奏曲第2番
    →ラフマニノフ:パガニーニの主題による狂詩曲 作品43 に変更(2012.8.1)
    マーラー:交響曲第5番
  • 11月20日(火)東京文化会館(都民劇場)

上記以外にツアーで演奏予定と発表されているのは、ジョン・アダムズ、ヘンリー・カウエル、ルー・ハリソンの作品、プロコフィエフのピアノ協奏曲第2番、ラフマニノフの交響曲第2番。

(2012.6.21)

【追記】
11/20 都民劇場のプログラム

アダムズ:ショート・ライド・イン・ア・ファースト・マシーン
プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第2番 ト短調Op.16
ラフマニノフ:交響曲第2番 ホ短調Op.27

ユジャのプロコフィエフは、過去サンフランシスコで取り上げてきたもの。ラフマニノフの2番をMTT/SFSコンビが取り上げるのは、2000年以来とのこと。MTTがなぜこの選曲なのかは不明。サンフランシスコ交響楽団の特徴である弦楽セクションを生かせるから?

(2012.7.8)

powered by Quick Homepage Maker 5.1
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. QHM

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional