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サンフランシスコ交響楽団のSing Out, Davies!イベント・リポート

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サンフランシスコ交響楽団のSing Out, Davies!イベントリポート

音楽でコミュニティのハブとして機能することを目指しているサンフランシスコ交響楽団。新たに“Community of Music Makers” と題した大人のアマチュア音楽家向けプロジェクトをスタート。第一弾として、6月28日に合唱ディレクターのラグナー・ボーリン氏による合唱ワークショップを開催しました。

ベイエリア在住の日本人SFSファンの皆さんが参加して、イベントの様子や感想をリポートして下さったのでご紹介します。

イベント内容

  • イベントは6月28日の1日のみ(場所:デイビスホール)。18:30スタートで21:30終了。参加はベイエリア各地からあり、初めてデイビスホールの舞台に上がったという人がほとんど。
  • 曲目は、バッハのマタイ受難曲から10番のコラール、メンデルスゾーンのエリアから29番(みよ、イスラエルを守りたもうは…)、ヘンデルのメサイヤからハレルヤ・コーラスの3曲。
  • 参加は事前登録制でオーディションはなし。早々に定員枠が埋まり、50名追加するも希望者多数で参加できなかった人が多数出た。参加費20ドル
  • 参加者には事前準備のためのリソースをオンラインで提供(楽譜、演奏音源、ドイツ語の発音についての解説シート、歌詞を読み上げた音声、歌詞の対訳、曲についてもっと知りたい人のためのガイド)。
  • 参加者はソプラノ119名、アルト140名、テノールとバス合わせて100名。舞台とセンター・テラス席(舞台後ろの席)が埋まる人数。
  • 各席にはパート毎に色分けしたファイルをセット。ファイルの中には、楽譜(ブレス記号などが記入済み)、San Francisco Symphony Chorusと書かれた鉛筆(これだけで何か嬉しかった)、当日の流れが書いてあるA4の紙、いつもSFSのコンサートで配られるのと同じプログラム冊子。

配布物

  • プログラム冊子はこのイベントのもので、いつものコンサートと同じ形式で表記されており、出演者として参加者全員の名前を記載。このサプライズには、なんて気の利いた演出!と感激。また会場にはアッシャーさん(ご案内係)もいつものコンサートと同じ蝶ネクタイ姿でお世話。
  • 最初に挨拶やその日の流れなどを説明、それから発声。意味不明の早口言葉みたいな発声で口の中の空間を保ったまま口先をはっきり動かして発音する練習が印象に残った。
  • まず3曲全員で歌ってみた後、7時からパート練習。ファイルがパート毎に色分けされていたが、その色でパート練習の場所まで道案内されていて、時間を無駄にしない、スムースにイベントが進行することに配慮がなされていた。
  • パート練習は、SFSコーラスのメンバーが指導。途中合唱ディレクターのラグナー・ボーリン氏が登場、時々踊りもまじえながらハレルヤを指導。
  • 8時から15分ほど休憩。クッキー(3種類くらい)とコーヒー(レギュラーとカフェイン抜き)や水などがあり。
  • 最後に舞台に戻って全体練習。最初に全員で歌ったときはピアノ伴奏だったが、このときはパイプオルガンの伴奏!これもまたサプライズで、参加者はかなりエキサイトし、盛り上ってイベントは終了。
  • イベント翌日にSFSからメールがあり、参加へのお礼と今年のメサイヤのチケット25%引きのオファー(シングル・チケットの売り出し前なのに、この機会を逃しません)、オンライン上でのフィードバックへの協力依頼があり。

参加した皆さんからのコメント

音楽面について

  • 曲のレベルに比して指導の時間が短く、情報量が多すぎて皆、各自で処理出来る前にタイムオーバーになった、という感じでしたが・・・一か月練習したら、きっとすばらしいパフォーマンスになったことでしょう。(←注意された時はかなり良かったけれど、最後に通した時にはできていなかった、という部分が多かった)

運営面について

  • 運営がとてもシステマティックでよく考えられていた。初めての試みとは思えないスムースさ。なおかつwelcomeな感じが伝わってきて、参加者を喜ばせてくれるちょっとした工夫があり素敵だと思いました。これで20ドルは安いー!
  • こんな丁寧なワークショップを持ってもらえるとSFsymphonyにも親近感がわく。

合唱ディレクターのボーリン氏について

  • 彼の気さくな人柄と、彼のこだわりはよかった。
  • 表情が豊かで、説明したところを実際に歌って聞かせてくれるので(英語力のない人でも、経験が少なくても)わかりやすかった。
  • 本人が歌がうまいから、指導も細かいニュアンスまで伝えられるし、説得力があった。

客席で聴いていたピアニストさんより(プロにはどう見えたか?)

  • 指導の様子を実際に見て聴いて、指導者の音域が広いという事はとても有利だと思いました。楽器だと簡単に音を出せますけど、「声」の場合、出せる出せないで指導に有利不利があるなと。
  • 演奏者同士がいきなり顔を合わせて何かを一緒に作る場合、正直言って実力よりも「その場の雰囲気」というものが大きくものを言うと思います。そこが指揮者にかかってくる訳ですが、楽しく学べ、楽しく歌えたのはきっと指揮者の持つ力(音楽的な力だけでなく人格的なもの)でもあると思います。それは聴いている側にもその温かさが伝わってきました。
  • 男性陣は人数の割りにはずいぶんとボリュームもあり、テノールはなかなか1回きりの舞台なのにうまくまとめて歌ってました。バランスそんなに悪くなかったですね。

総括

このイベント、工夫とホスピタリティがあってものすごくサンフランシスコ交響楽団らしいと思いました。通りいっぺんの「こんなこともやってみました」的なものではなく、かなり周到に考え、準備され、そしてサンフランシスコ交響楽団へのロイヤリティを高めるよう練られています。

当日はビデオ撮りしていたそうなので、そのうちサンフランシスコ交響楽団が紹介ビデオを公開することでしょう。

合唱イベントは、次回11月に開催される予定になっていますが、今後プロジェクトがどう展開していくか楽しみです。

イベントのリポートにご協力いただいた皆さま、どうもありがとうございました!特にサンフランシスコ在住時には毎週SFSを聴きに行き、ネバダ州に引っ越した後もはるばる聴きに行っていて今回のイベントにも参加したMさん、ありがとうございました!

 

このプロジェクトの経緯を紹介した過去記事
大人のアマチュア音楽家対象のプロジェクト、第一弾は合唱

(2011.7.4)

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